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江戸川区水害・浸水リスクについて

近年は、台風や集中豪雨、線状降水帯などの影響により、各地で浸水被害や河川氾濫が発生しています。江戸川区も河川や東京湾に囲まれた低地であり、水害を身近なリスクとして捉えることが大切です。

まずは江戸川区の水害ハザードマップで、自宅や勤務先の浸水想定、避難先、避難経路を確認しておきましょう。

参照:江戸川区水害ハザードマップ第2版(2025年7月公表)│江戸川区

江戸川区の水害はなぜ起こる?河川と土地の特徴

河川と東京湾に囲まれている江戸川区

江戸川区は、荒川や江戸川などの大河川の最下流に位置し、東京湾にも面している地域です。区内・区境には、旧中川、中川、新中川、江戸川、旧江戸川などの河川が流れています。

河川や海に近いことは暮らしや物流に便利な一方で、大雨による洪水、内水氾濫、高潮などの影響を受ける可能性があることを意味します。

参照:新中川│江戸川区郷土資料室

上流域に降った雨が下流部へ流れ込む

河川では、上流域に降った雨が支流を通じて下流へ流れます。江戸川区は、利根川・江戸川や荒川の氾濫想定区域の最下流部に位置しているため、区内だけでなく上流域の降雨状況も水害リスクに関わります。

大雨の際は、自宅周辺の雨だけで判断せず、江戸川区や国・東京都が発信する河川水位、気象情報、避難情報を確認することが重要です。

参照:江戸川区スーパー堤防整備基本計画(方針)策定調査│江戸川区

区内の約7割がゼロメートル地帯

江戸川区は、かつて地盤沈下が進行したことなどから、区内の約7割が満潮時の水面より低い「ゼロメートル地帯」とされています。そのため、河川の氾濫だけでなく、高潮や内水氾濫による浸水にも備える必要があります。

参照:江戸川区スーパー堤防整備基本計画(方針)策定調査│江戸川区

江戸川区のこれまでの水害

江戸川区は、これまでにも洪水、高潮、内水氾濫による被害を経験してきました。以下の表は、江戸川区の資料に掲載されている主な水害の記録です。

年月 風水害名 浸水原因 浸水戸数 被災者数
明治43年8月 長雨 利根川決壊 3,654戸 13,500人
大正6年10月 台風 高潮 流出・破損3,425棟 死者240人
昭和13年9月 台風 高潮 23,000戸 1,000人以上
昭和22年9月 カスリーン台風 利根川決壊 30,506戸 132,991人
(死者1人)
昭和24年8月 キティ台風 高潮 12,545戸 62,324人
昭和33年7月 台風第11号 内水氾濫 6,599戸 28,312人
昭和33年9月 狩野川台風 内水氾濫 41,783世帯 185,046人
昭和36年10月 台風第24号 内水氾濫 23,844世帯 94,496人
昭和41年6月 台風第4号 内水氾濫 4,064世帯 10,200人
昭和46年8月~9月 台風第23号・25号 内水氾濫 1,973世帯 345人
昭和56年10月 台風第24号 内水氾濫 10,289世帯 31,383人

※本表は、江戸川区「江戸川区スーパー堤防整備基本計画(方針)策定調査」に掲載された数値をもとに作成しています。

参照:江戸川区スーパー堤防整備基本計画(方針)策定調査│江戸川区

カスリーン台風による被害

昭和22年9月のカスリーン台風では、利根川の堤防決壊により、濁流が江戸川区にも到達しました。江戸川区内では30,506戸が浸水し、132,991人が被災しています。

江戸川区の資料では、区内の死者数は1人とされています。

国土交通省関東地方整備局の利根川流域に関する資料では、死者は1,100人、負傷者は2,420人にのぼったとされています。これは、関東の1都5県における利根川流域の被害を示す数値です。

参照:江戸川区スーパー堤防整備基本計画(方針)策定調査│江戸川区

参照:関東地方におけるカスリーン台風の被害を知る│国土交通省 関東地方整備局

狩野川台風による被害

昭和33年9月の狩野川台風では、豪雨によって大規模な内水氾濫が発生しました。江戸川区内では41,783世帯が浸水し、185,046人が被災しています。

気象庁によると、狩野川台風による全国の死者数は888人、行方不明者数は381人です。

参照:江戸川区スーパー堤防整備基本計画(方針)策定調査│江戸川区

参照:狩野川台風│気象庁

大規模水害が起きた場合の影響

江戸川区の公式資料では、万が一、江戸川の堤防が決壊した場合、江戸川区だけでなく首都圏全体で約530平方キロメートル、約80万世帯、約232万人に被害が及ぶ可能性があるとされています。

大規模水害が発生すると、住まいや事業所への浸水に加え、交通、物流、通信、電力など、生活や社会活動を支える機能にも大きな影響が及ぶおそれがあります。

参照:これまでの水害│江戸川区

近年の豪雨災害から学ぶ

近年も、各地で記録的な大雨による河川氾濫や浸水被害が発生しています。平成27年9月の関東・東北豪雨では鬼怒川が決壊し、平成29年7月には九州北部を中心に記録的な大雨による被害が発生しました。

江戸川区も、洪水、高潮、内水氾濫、津波などの水害リスクに備える必要があります。津波については、江戸川区の地域防災計画で最大T.P.+2.24メートルの津波高が想定されています。一方で、東京湾内湾では大きな津波は起こりにくく、防潮堤などにより市街地側の被害リスクは低いとされています。

参照:平成27年9月関東・東北豪雨について│気象庁

参照:平成29年7月九州北部豪雨│気象庁

参照:江戸川区地域防災計画 津波対策編│江戸川区

水害に備えて財産と命を守る

水害に備える際は、火災保険に水災補償が付いているかを確認しておくことが大切です。水災補償の有無や保険金の支払条件は、保険会社や契約内容によって異なります。保険証券や契約内容を確認し、必要に応じて保険会社や代理店へ相談しましょう。

また、非常食、飲料水、懐中電灯、モバイルバッテリー、常備薬などを準備し、避難先や家族との連絡方法をあらかじめ話し合っておくことも重要です。

参照:水災への備え、本当に大丈夫ですか?│一般社団法人 日本損害保険協会

江戸川区の水害対策

江戸川区では、高潮や河川氾濫による被害を軽減するため、堤防整備や高規格堤防の整備などが進められています。

葛西海岸堤防と高潮対策

昭和24年のキティ台風では、高潮によって区内各所の堤防が決壊し、多くの浸水被害が発生しました。この被害を受け、葛西の地を高潮から守るための葛西海岸堤防が昭和26年に着工され、昭和32年に完成しました。

その後も地盤沈下や高潮への対策が行われ、葛西沖の開発では、街全体のかさ上げや、葛西臨海公園に防潮機能を持たせるための整備が進められています。

参照:葛西沖 vol.5 進行する地盤沈下と葛西海岸堤防│江戸川区

高規格堤防(スーパー堤防)の整備

高規格堤防は、一般的な堤防よりも幅を広く持たせることで、越水や浸透、地震による被害を抑えることを目指す堤防です。国土交通省は、堤防の高さの約30倍の幅を持つ堤防として整備を進めています。

高規格堤防の整備は、まちづくりや再開発などと一体で進められるものであり、整備予定区域であっても直ちに工事が行われるわけではありません。

参照:高規格堤防 整備事業概要│国土交通省 関東地方整備局 江戸川河川事務所

自分でできる水害対策

避難先と避難方法を確認する

水害が起きた場合に備え、自宅や勤務先の浸水想定を水害ハザードマップで確認し、避難先や避難経路を家族で共有しておきましょう。

江戸川区では、大規模水害のおそれがある場合、原則として区外の浸水しない地域への広域避難を案内しています。広域避難が難しい場合は、ハザードマップの想定浸水深より高い階への垂直避難など、状況に応じた避難行動が必要です。

避難のタイミングは、気象情報や区からの避難情報を確認し、風雨が強くなる前に判断することが大切です。

参照:風水害時の避難の考え方│江戸川区

参照:避難所・避難場所の検索│江戸川区

水害リスクを踏まえて住まいを考える

これから江戸川区内で住宅を建てる、または購入する場合は、建物の構造だけでなく、土地の浸水想定、想定される浸水深、電気設備や給湯設備の設置位置、止水対策、避難できる階の有無などを確認しましょう。

鉄骨造や鉄筋コンクリート造であっても、浸水被害を完全に防げるわけではありません。水害ハザードマップを確認したうえで、地域のリスクに合った住まいづくりと避難計画を考えることが重要です。

まとめ

江戸川区は、河川や東京湾に囲まれ、区内の約7割がゼロメートル地帯であることから、洪水、高潮、内水氾濫などへの備えが欠かせない地域です。

水害ハザードマップで自宅周辺の危険性を把握し、避難先や避難方法、非常時の持ち出し品、保険の補償内容を確認しておきましょう。日頃からの備えが、いざというときに自分と家族の命や暮らしを守ることにつながります。

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