住宅ローンと言っても金融機関などの借り先と、借り先が取り扱っている金利プランによって分類されます。また借り先にはフラット35のような協調融資という形も。このページでは住宅を購入する際に知っておきたい、住宅ローンの種類と選び方を解説します。
住宅ローンには大きく3つ(民間融資・公的融資・協調融資)に分類され、それぞれに様々な借入先や異なる制度があります。住宅ローンを選ぶ上で重要なポイントと言えるのが金利でしょう。同じような商品名や金融のタイプであっても、借入先によって金利が異なるので注意が必要です。
融資の借入先を不動産会社や住宅メーカーなどから紹介されるケースもありますが、他のローンよりも金利が安いかどうかは分かりません。そのため紹介された商品だけをチェックするのではなく、自分に合った借入先・商品を選ぶようにしましょう。
金融機関系(都市銀行・地方銀行・信託銀行など)
都市銀行・地方銀行・信託銀行などが提供している住宅ローンは、商品が豊富に揃っているのが特徴。借り入れの条件はそれぞれの金融機関で決められていますが、年齢・収入・勤続年数をクリアすればほとんどの場合で融資を受けることができます。また、金融機関の住宅ローンには「提携ローン」と「非提携ローン」があります。
生命保険・損害保険系
生命保険・損害保険の加入者を対象とした住宅ローンです。ハウスメーカー・建設業者などと提携してローンを斡旋しているところが多く、融資額・返済期間は長め。物件審査はもちろん本人審査や面接を実施するケースもあり、審査基準は厳しいものとなっています。誰でも利用できる場合と、提携先企業の社員などに限定している場合があるので注意。
総合農業共同組合(JA)
総合農業共同組合(JA)の組合員が利用できる住宅ローン。各JAが規定する資格・条件を満たした人のみが利用できます。一般の会社員であっても、JAの組合員になれば利用できる場合もあります。
財形融資
財形融資とは、勤務先で財形貯蓄を1年以上継続しており、貯蓄残高が50万円以上ある人が利用できる融資。財形貯蓄残高の10倍まで借り入れができ(最高4,000万円)、金利タイプ1%前後で5年固定型となっています。金融機関などの民間融資や、フラット35と併用することも可能。財形貯蓄を行っている方は、勤務先に利用できるかどうか確認してみるとよいでしょう。
自治体住宅融資
自治体融資とは、居住または勤務している都道府県・市区町村の自治体による融資。自治体ごとに融資の条件が決められていますが、審査に通ればかなりお得に住宅ローンを組むことができます。自治体が直接融資を行うタイプや、所定の金融機関で借り入れたローンの利子を一定期間補助するタイプなど、融資の内容も自治体によって異なります。制度を行っていない自治体もあるので、まずは問い合わせてみましょう。
フラット35
フラット35とは、住宅金融支援機構が民間金融機関をバックアップする形で行われる融資。借り入れの申し込み時に満70歳未満で収入などの諸条件をクリアすれば、誰でも融資を受けることができます。借入時に決定した金利がそのまま継続される長期固定金利型の住宅ローンで、保証料・繰り上げ返済の手数料が不要。100万以上から最大8,000万円まで借り入れできるのも特徴です。
また、省エネ性能・耐震性・バリアフリー・耐久性・可変性などに優れた住宅を取得した場合は、フラット35Sが利用できることも。審査に通れば、フラット35の金利が一定期間引き下げられます。
ダブルフラット
ダブルフラットは「フラット20」「フラット35」を組み合わせたもので、借入額の一部だけ20年、残りは35年と返済期間を2つ設定する借り入れ方です。この方法を用いることで、一定期間の金利をフラット35よりも引き下げることができます。そのため子供の教育費や老後に備えたいという方が、利用するケースがほとんどです。ただ手数料が割高になりがちというデメリットも。
フラット35 S
フラット35Sとは省エネ性・耐震性・耐久性・バリアフリー性・可変性のいずれかが、一定の水準をクリアした住宅で用いられ、フラット35よりも一定期間金利を引き下げることができます。金利AプラントBプランがあり、住宅の性能によって変わり、金利Aプランの方が高い基準をクリアしなければなりません。金利Aプランを利用すれば、返済開始より10年間は年間で0.25%の引き下げを受けられます。
フラット35 子育て支援型・地域活性化型
フラット35子育て支援型・地域活性化型は、地方公共団体と機構が連携してサポートする制度のことで、子育て支援型であれば子育て世帯がマイホームを取得するケースが対象となり、地域活性化型はUターンのためにマイホームを取得するケースなどが対象となります。子育て支援型も地域活性化型のどちらも金利が年間0.25%を5年間引き下げられ、フラット35Sと組み合わせることも可能です。利用条件などは地域によって変わるため、必ずホームページなどで確認してください。
フラット35 リフォーム一体型
フラット35リフォーム一体型は中古の物件を購入する際、同時にリフォームも行う場合に活用できる制度です。この制度だけで金利の引き下げは受けられませんが、フラット35Sやフラット35子育て支援型・地域活性化型を組み合わせることで、金利の引き下げが受けられるでしょう。
ローンの借入先ごとに「全期間固定金利」「変動金利」「当初固定金利(固定金利選択型)」のような金利タイプ商品があります。タイプごとでどのような特徴があるのか解説するので、どのタイプが自身に合っているのか検討してください。
借り入れの期間は金利が固定されているため、将来金利が上昇したとしても支払額は一定のままです。家計の収支計画も立案しやすくなり、将来設計もしやすいでしょう。とくに将来の金利上昇への不安を感じる方や、収入の変動が大きな方におすすめのタイプです。ただ他のタイプよりも金利は割高の傾向があり、もし金利が上昇しなければトータルの返済額は高くなってしまいます。
半年に一度のペースで金利は変動する可能性があります。返済額は金利の変動によって、5年ごとに見直されるのが「変動金利」のタイプです。そのため5年ごとに返済額が変わるため、返済額が上昇したとしても家計に支障がない方や世帯年収の増加が見込める方にはオススメでしょう。ただ変動金利であっても125%ルールが設けられており、これまでの返済額の125%は超えないというルールがあるため、極端に返済額が高くなることはありません。
固定金利と変動金利を組み合わせたタイプで、借り入れ時に10年・20年など固定金利の期間を選びます。その期間中は金利が変わることはありません。固定金利の期間が終わったあとで、再度固定金利と変動金利のどちらにするか選ぶことができ、ライフスタイルなどによって検討できるでしょう。ただ固定金利の期間が終わったタイミングで金利が極端に上昇していれば返済額が大きく跳ね上がってしまうリスクがあり、125%ルールも適用されません。また金利上昇がなかった場合でも返済額が増える可能性もあるので注意が必要です。
住宅ローンの返済方法にも種類があります。「元利均等返済」と「元金均等返済」があり、それぞれで特徴が異なるので注意しましょう。ここでは元利均等返済と元金均等返済について解説するので、チェックしてください。
元利均等返済とは、元金の返済額と利息のトータル額が常に同じ金額になるような返済方法のことです。一定になることで家計の管理もしやすくなるというメリットがあります。この方法であれば、返済の開始時期では利息の返済額が大きく、年数が経つにつれて利息の割合が減少していきます。同じ金額の借り入れを行った場合、元金均等返済よりもトータルの返済額は高くなってしまうでしょう。
元金均等返済とは、元金の返済額が常に同じ金額になるような返済方法のことです。そのため最初の返済額が最も大きくなり、徐々に返済額が減っていく特徴があります。元利均等返済よりもトータルの返済額は少なくなりますが、借り入れ可能な費用は小さくなってしまうでしょう。