不動産を購入する際、新築と中古がありますが、中古の中には、リノベーション物件という選択肢があります。不動産購入は、生涯の中でも高い買物になります。失敗しないために、ここではリノベーション物件の注意点やメリット・デメリットを解説します。
リノベーションは、既存の建物に大規模な工事を行い、住まいの性能・価値を高めること。リフォームは、破損や設備不良といったマイナスの状態をゼロに戻すための機能回復を指すことが一般的です。
というのも、リノベーションとリフォームについて明確に定義されているわけではないためです。そのため、リフォームやリノベーションと記載されている場合は、どこまでの工事が行われているかを確認することが重要になります。
まずは、リノベーションのメリットについてご紹介していきます。家を購入する・建てると考えた場合にはまず新築の物件をイメージする方も多いでしょう。しかし、現在はリノベーション物件に注目している方も多いといわれています。
これは、リノベーションにはさまざまなメリットがあるため。ここでは、リノベーションのメリットとして挙げられる「物件の選択肢が多い」「低いコストで購入できる」「家族構成やライフスタイルに合わせてカスタム可」といった点について詳しく紹介していきます。
リノベーション物件を購入するメリットとしては、まず物件の選択肢が多いといった点が挙げられます。
家づくりを考えるときに、新築で建てると仮定するとまず土地探しをする必要があります。例えば会社の場所や学校の場所、買い物しやすいかどうかなど様々な条件を考えながら土地探しをすることになりますが、まずは土地の空きがないことには家を建てられません。土地の空きがないばかりに、泣く泣くエリアを変更するというケースもあるでしょうし、土地があっても予算オーバーというケースもあるかもしれません。
しかし、リノベーションも合わせて検討する場合には、すでにそのエリアに建てられている中古物件も選択肢に入ってきます。こうなると選択肢が増えますので、希望に合った物件を見つけられる可能性も上がるといえるでしょう。
リノベーション物件は、低いコストで購入できるという点もメリットのひとつです。同じような条件の新築物件と比較すると、中古物件をリノベーションしたほうが費用が安く済むケースが多い、ということになります。
中古物件を購入する場合に覚えておきたいのが、戸建てやマンションは新築から15年経過すると価格が大きく下がる傾向がありますので、タイミングがよければ購入費用を抑えることができます。さらにリノベーションを行う場合に施工費用を抑える方法として建材の選定やデザインを工夫すると良いでしょう。
加えて、リノベーションによって物件の資産価値を高められるというメリットもあります。
家は一度購入すると長い期間住み続けることが前提となります。その間には、家族構成の変化が起こる場合がほとんど。その変化に応じて、間取りを変更したいと考えることも少なくないでしょう。
リノベーションは「家の中の設備を新しくする」というイメージを持っている方が多いかもしれませんが、「大きな間取りの変更」も可能。そのため、家族構成やライフスタイルに合わせたカスタムができる点もリノベーションのメリットといえるのです。
さらに、リノベーションを行う際に間取りと一緒に内装を好みのデザインに変えることもできますので、ずっとお気に入りのものに囲まれた暮らしもできるのです。
リノベーションにはメリットが多い反面、デメリットも存在します。リノベーション物件を選択肢に含める場合には、デメリットの部分まで知った上で物件探しを行うことが大切です。ここでは、「購入後すぐには住めない」「想定外の補修日が発生する場合もある」「カスタムできる範囲が限定されることがある」といった点について詳しく紹介します。
リノベーションを考える上で覚えておかなければならないのが、「購入後すぐに住めない」という点です。これは、物件を購入した後に設計・工事施工を経て引き渡しとなるため。その点新築であれば購入後すぐに引越しをして住み始めることができます。
そのため、リノベーションを行う際には物件を購入するタイミングをよく考える必要があります。たとえば「新年度までに引越しを済ませたい」「今住んでいる部屋の更新の前に」といった希望がある場合には、リフォーム会社などに相談しておくことも大切です。
リノベーションは、建てられてから時間が経過している物件であるため、予想外の補修工事が必要になる場合があります。例えば解体してみたら排水管から水漏れをしていたら、修理する必要があります。
こういったものは、解体してみないとわからないといった部分があり、当初の見積もりに補修費用がプラスすることになります。そのため予算オーバーしてしまう可能性もないとはいえません。
このような状況を避けるためには、物件選びの時に専門家に相談する、施工を依頼する会社立会いのもとで物件がどのような状態になっているかを確認すると良いでしょう。ただし、いくら注意をしていても、工事を行ってみないとわからないという部分はありますので、あらかじめ念頭に置いておく必要はあります。
リノベーションは基本的には間取りや内装を好みの形に設計できる点がメリットですが、カスタムできる範囲が限定されるケースもあるという点はデメリットといえます。これは、「建物の構造上変えられない部分」があるため。
例えば、「耐震性や耐久性を保つためにこの柱や梁は取り除けない」といった点や、マンションの場合には「上下左右の部屋に影響が出ない範囲での変更」が求められる場合があるためです。
このように、リノベーションはなんでもできるというわけではありません。しかし設計を行う段階で「この工事はできる」「この工事はできない」といった点は建築士などが確認して提案してくれますので、契約を行う前に確認しておくと良いでしょう。
リノベーション物件は、見た目は新築のようにきれいです。建物本体の状態が把握しにくいため、工事の範囲と程度を確認する必要があります。いつ、どこを、どのように施工したのかを確認してください。手を加えているところと新築時からそのままになっている部分を把握するのは、住みはじめてからのメンテナンス計画にも影響します。できれば、ビフォー・アフター両方の図面を見せてもらいましょう。
リノベーション費用を箇条に上乗せされていないかも注意したいポイントです。物件相場価格にリノベーション工事にかかった費用が加算された価格であれば問題ありません。注意したいのは、リノベーション済みという価値に対して過剰な価格設定がされているケースです。提示価格をうのみにするのではなく、相場に合っているかを確認してください。
建築基準法などの法令に違反していないかも注意が必要です。まれに違法に増築されていたり、建蔽率がオーバーしていたりといった物件があります。法令に即していない場合、住宅ローンが通らない、将来リノベーションができない、スムーズに売却できない、といった問題が生じる可能性があります。「適合リノベーション住宅」を目安にするといいでしょう。
リノベーション済みで見た目がきれいでも、見えない部分の劣化が激しいことがあります。床下や屋根裏など見えない部分まで確認しましょう。特に主要構造部の劣化が激しいと、あとから手の施しようがないかもしれません。耐震性や断熱性も確認してください。
リノベーション物件のメリット・デメリット、注意点について紹介してきました。
リノベーション物件は、物件の選択肢が多く、低コストで購入できるなど、たくさんのメリットがあります。一方、想定外の補修費がかかったり、カスタムできる範囲が限られたりといったデメリットもあります。リノベーション済み物件の場合は、工事の範囲や建物の状況を正しく確認することが大切です。
リノベーション物件を選択肢に入れると、物件探しの幅が広がります。ここで紹介した知識を踏まえて不動産購入の選択肢の一つに入れてみてはいかがでしょうか。