令和2年において、江戸川区の犯罪件数は23区中ワースト4位にランクインしています。残念ながらあまり治安が良いとは言えないようです。
人口密度の高いエリアほど犯罪の契機も増え、犯罪発生率が高くなる傾向にあります。加えて、都心部など人の往来が多いエリアは、さらに犯罪が増加する傾向があるのです。それを踏まえたうえで見ると、江戸川区における犯罪件数の多さは治安が理由ではなく、人口密度の高さから必然と犯罪が起こりやすい―と見るべきでしょう。
以下、データ参照元:警視庁「区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/about_mpd/jokyo_tokei/jokyo/ninchikensu.html
犯罪発生数はワースト4位の江戸川区ですが、東京23区の犯罪発生率は0.84%、その中で江戸川区は「0.72%」と平均以下の水準であることがわかります(令和2年の情報)。
では、この0.72%をどのような犯罪が占めているのか、犯罪件数の内訳から傾向を探ってみましょう。
盗難・万引などの「非侵入窃盗」が大半を占めるほか、詐欺・知能犯などの事件数も増加傾向にあります。
江戸川区はファミリー世帯の転居率が高いためか、青少年による暴行・窃盗犯罪が多発している傾向にあります。
特に区内犯罪件数の4割を占める自転車盗は東京23区内ワースト2位です。また振り込め詐欺や架空請求など、高齢者をターゲットにした特殊詐欺の増加も無視できません。
引用元:Rooch(ルーチ)https://blog.ieagent.jp/eria/tokyochianranking-54350#chapter-13
江戸川区の犯罪発生率は、エリアごとで大きく異なるのが特徴です。人口が少ないにもかかわらず犯罪頻度が異常に高いエリアもある一方で、駅周辺でも少なかったりと安全な区域も。
ここでは、江戸川区の中での主要な駅の治安をご紹介します。
北小岩3丁目にある江戸川区のターミナルで、成田空港駅間を結ぶ京成電鉄本線の駅です。
区の主要駅であるにもかかわらず犯罪件数は合計14件と比較的少ないうえ、そのほとんどが自転車盗難・ひったくりなどの傷害を伴わない窃盗犯罪です。
交通の便も不足はなく、主要施設のアクセス環境も整っています。物件相場も安いため、生活費を抑えることができます。
一之江八丁目にある東京都交通局新宿線の駅で、新宿まで約30分でアクセスできるエリアです。
緑が多い閑静な住宅街で生活上の不便も少ないため、高い人気を誇っています。
住宅街という性質上窃盗犯罪が目立ち、その犯罪件数は29件とやや多めですが、その分大きな傷害犯罪は起こらない傾向にあります。
篠崎町7丁目にある東京都最東端の駅です。江戸川に隣接しています。
都営地下鉄新宿線を利用すれば新宿まで直通約35分で向かえるため、最端に位置しているものの、都心部への交通アクセスは良好です。
犯罪件数は上位と大きく離れて50件と多いですが、都心からやや外れたエリアであるため、家賃相場が安いというメリットから人気があります。
江戸川区では未成年の犯罪の増加が目立っています。区内でも注意すべきといわれるエリアを2つ挙げてご紹介します。
小岩は江戸川区の北端に位置しているエリアです。葛飾区と江戸川をまたぎ、千葉県市川市にも接しています。
西小岩・南小岩は区内でも治安が悪いエリアの代表です。両区画の合計件数は456件。江戸川区の犯罪認知件数を押し上げている一端と言えるでしょう。
内訳としては自転車盗、車上狙い、万引きなど、青少年による不法行為が大半を占めています。
葛西は江戸川区の南部に位置するエリアです。ターミナル駅の葛西駅には東京メトロ東西線や環状七号線が通っているほか、バスも多く運行しています。
葛西は小岩に並んで犯罪件数が多いエリアです。中でも西葛西・東葛西での発生率が高く、西葛西の合計件数だけでも337件という高い数字が出ています。
事件は窃盗犯罪が主で、特に自転車盗は区画合計で103件もの被害報告が上がっているほか、事務所荒らしや空き巣などの侵入窃盗事件も多発しています。
江戸川区では増加傾向にある車上ねらいや自転車盗、インターネット・通話を利用した特殊詐欺を懸念し、さまざまな安全・犯罪防止対策を講じています。
江戸川区における自転車盗は年々増え続けています。そしてその被害者・被疑者ともに10代の若者が大半です。
そこで江戸川区では自転車盗の防止と青少年の健全育成を目的に、学校・地域・警察で協働し「自転車盗ゼロ作戦」を実施。
主要駅を利用する方への啓発活動をはじめ、自転車利用者へのワイヤー錠配布、路上放置自転車への防犯・啓発シール貼り付けなど、地域全体で防犯活動を行っています。
高齢化にともない、高齢者をターゲットにした振り込め詐欺・還付金詐欺などの特殊詐欺が増加しています。
江戸川区ではこれらの特殊詐欺から高齢者を守るため、通話の相手に通話録音をする旨を伝えるメッセージを送信する「自動通話録音機」を給付しています。
特殊詐欺の犯人は証拠が残ることを嫌うので、通話前のメッセージは犯罪を未然に防ぐのに効果的です。
実は、現在の江戸川区の犯罪認知件数は大幅に減少しています。
しかし、区・警察・地域団体が団結して防犯活動に取り組んだ結果、令和2年の犯罪発生件数は3,761件までに落ち着きました。
この結果から、江戸川区における防犯活動はきちんと成果につながっていることがわかります。
江戸川区の犯罪認知件数は減少傾向にあるものの、東京23区内で比較するとワーストランキング上位の状況が続いています。
特に自転車盗・車上ねらいなどの盗難行為は、いまだ大きな数字が出ているのも事実です。増加を続ける特殊詐欺に対してはもちろん、窃盗犯罪にもさらなる対策が求められています。
本項でご紹介した犯罪認知件数はあくまでも数字であり、危険性・安全性を裏付けるものではありません。江戸川区の治安状況もエリア差が激しく、良い、悪いと一概には言えないのです。
江戸川区で安全なエリアを探す際は、街全体の犯罪認知件数だけを見るのではなく、「区画(町丁)ごとの割合」にも注目しましょう。